日本語教師は不足している?現役日本語教師が実体験を語ります

日本に在留している外国人の数は年々増加しています。外国人在留者数の増加に伴って、日本語学習者も増加しています。

また2019年4月に改正された出入国管理法により、今後も日本には外国人が増えていくと予想されます。日本語教育に対する需要もますます高くなっていくでしょう。

では、現在の国内外にいる日本語教師の数で、年々増えていく学習者数に対応することができているのでしょうか?

今回の記事では、現役日本語教師の私が、国内外で日本語教師が不足しているかどうかについて実体験を踏まえて解説します。

日本語教師の数は不足しているのか?

日本語教師の不足を判断するために、国内外の日本語学習者数と教師数の推移を見てみましょう。

日本語学習者数の詳細(国内)

文化庁の調査結果では、平成30年6月末の国内在留者数は過去最高の263万7251人を記録しました。これに平行して、日本語学習者も増加しています。その数は25万9711人であり、前年比で8%増、約2万人増えた計算になります。

教師数の詳細(国内)

教師数を見てみると、国内の日本語教師数は約4万1600人、前年比で5%増・約2000人増という結果です。その内訳はボランティアが約2万3000人で全体の55%、次に非常勤講師が約1万3000人、常勤が約5600人となっています。

参考:文化庁国語課「日本語教育実態調査 平成30年度国内の日本語教育の概要」

http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/h30/

日本語教師の現状(国内)

学習者数が、2万人の増加に対して教師数は2000人の増加になっています。教師の内訳を考慮すると2000人のうち多くはボランティア講師でしょう。学習者の増加率に対して、職業としての教師の増加率には追いついていません。

また、平成23年度の調査から現在までの8年で日本語学習者数は倍増しています。一方で教師数は3割しか増えていません。学習者と教師数の増加率にここまで乖離があると、教員数が不足していると言えるでしょう。

日本語学習者数の詳細(海外)

2015年の調査では、海外での日本語学習者数は約365万5千人となっています。前回の2012年の調査では、約398万5千人となっていますので、約8%の減少・33万人の減少となっています。

海外での学習者の減少の内訳を見てみると、インドネシアや中国といった人口が多い国での学習者が減ったのが要因です。一方でその他の国では学習者は増加しています。

しかし、学習者数は2012年までは増加しており、依然高い水準を推移しています。

教師数(海外)

2015年の調査では、海外での日本語教師の数は64,108人となります。前回の2012年の調査では、教師数は約63,780人となっていますので、ほぼ横ばいで推移しています。

参考:日本国際交流基金 「海外の日本語教育の現状 2015年度日本語教育機関調査」

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/survey15.html

日本語教師の現状(海外)

中国やインドネシア以外の国では日本語学習者は増加していますが、教員数はほとんど変わっていません。それゆえ、地域によって日本語教師が不足していると考えられます。

技能実習生の来日が増えているベトナムでは、出国前の日本語教育を担当できる教師が不足しているという声も聞いたことがあります。

海外の求人に関するエピソード

私は現在、東ヨーロッパにあるジョージアで日本語教師として働いています。私が所属している学校は、友人の紹介で入りました。偶然、日本人講師が帰国するということで、入れ替わりで採用が決まったのです。

ジョージアでは日本語を学ぶ方が一定数いますが、それほど多くはありません。それゆえ、教員に欠員が出ない限り働くことは難しいです。

日本語教室を新しく開講した別の語学学校から、日本語教師として勤務してくれないかとオファーがありましたが、結局生徒が集まらず開講できないということもありました。

まとめ

以上から、国内では日本語教師の不足が問題となっていることが分かりました。不足の原因としては、日本語教師の待遇の悪さも関係しております。臨時職員の数が多いのも待遇の悪さを露呈しています。

しかし、日本語教育の需要は増すばかりです。日本語教師不足を解決するためにも、今後教師の待遇が改善されることを願います。

また、海外では私の例のように、地域によって日本語教師の不足が無いところもあります。一方で、教師の不足が問題となっている国もあるでしょう。