国内の外国人の数は年々増加しています。それに伴い、日本語教師の需要も高まっています。しかし、外国人の増加に対して教師の数の増加が追いついておらず、慢性的な教師不足となっています。
その結果、少ない教師数で大勢の外国人に授業をしなければならない現状があります。この状況をみると、日本語教師の仕事がきついから人が集まらないのではないかと思う方もいるでしょう。実際にはどうなのでしょうか?
今回の記事では、現役日本語教師の私が、日本語教師の仕事の大変なところ・きついポイントについて語ります。
日本語教師の大変なところ
教師数が足りない
文化庁の調査結果では、平成30年6月末の国内在留者数は過去最高の263万7251人を記録しました。これに平行して、日本語学習者も増加しています。その数は25万9711人であり、前年比で8%増、約2万人増えた計算になります。
一方で教師数を見てみると、国内の日本語教師数は約4万1600人、前年比で5%増・約2000人増という結果です。その内訳はボランティアが約2万3000人で全体の55%、次に非常勤講師が約1万3000人、常勤が約5600人となっています。
参考:文化庁国語課「日本語教育実態調査 平成30年度国内の日本語教育の概要」
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/h30/
また、平成23年度の調査から現在までの8年で日本語学習者数は倍増しています。一方で教師数は3割しか増えていません。学習者と教師数の増加率に大きく乖離があるのです。
その結果、教師一人当たりに担当する生徒の数が増えているのです。
授業時間数が多い
慢性的な人材不足の影響もあり、1人当たりの受け持つ授業数は多いです。また、教師の業務は授業だけではありません。授業準備、学生指導、事務、カリキュラム作成など様々です。
授業の数が増えてしまうと、授業以外の業務に時間を作らなければなりません。それゆえ残業が増え、結果的に教師のモチベーションの低下や授業の質の低下に繋がるのです。
給与が低い
日本国内の日本語教師は大半が非常勤講師です。非常勤講師の給与は時給なので、専任講師と比べて給与が低いのは明らかでしょう。
最近、人材確保のために時給が高い求人が増えています。また、過去と比べても給与は改善しつつあるそうです。しかし、担当する授業のコマ数が多いと給与は増えますが、肉体的に大変です。
海外で勤務する場合でも同様です。地域の平均所得よりも多くはもらえますが、日本と比べると明らかに所得は低いでしょう。
実際に私が貰っている給与も現地では高いほうですが、日本に比べると低いです。しかし、生活するには問題は全くありません。
授業作り
学生がより効率的に日本語を勉強するために、日々授業を工夫し続けなければなりません。経験を重ねれば、慣れてくるところではありますが、日本語教師を始めたばかりだと大変です。
私も、日本語教師になった当初は苦労しました。どれだけ丁寧に日本語を説明しても、生徒たちのテストの結果が悪いのです。これには、自分の力不足を痛感し、悩みました。
しかし、諦めずに生徒たちは何に関心があるのだろうと、聞き込みや調査を行いました。
聞き込みの結果、生徒の多くがアニメに興味があることが分かったので、授業にアニメの内容を絡めてみると生徒たちからの反応がみるみる変わっていくのが分かりました。
その結果、テストの平均点数も上がり、生徒の日本語の理解が進んだことを実感したのです。
日本語教師のやりがい
日本語教師という仕事はきつい部分もありますが、やりがいももちろんあります。自分の授業によって、生徒の日本語力が向上すると大きな喜びを感じます。
まだまだ、日本語教師の魅力はたくさんあります。やりがい・魅力についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
まとめ
以上が日本語教師の仕事の大変なところ・きついポイントになります。日本語教師が置かれている環境は非常に厳しいです。
国内の日本語学習者の大半は、日本よりも賃金が低いところからきていますので、彼らが支払える額の学費に合わせなければなりません。
学校の収入が少なければ、固定費がかかる専任の教員を多く雇用できません。その結果、固定費の低い非常勤講師の数が多くなってしまうのです。
日本語学習者が増加しているからや、学校の収入が増えるからといって無理に生徒数を増やすと、講師の負担が大きくなります。その結果、人材の流出や人材不足、教育の質の低下に繋がるのです。
現在日本語教師を取り巻く環境は、負のスパイラルに入っていると感じられます。今後、この環境が早急に改善されることを願います。