【現役日本語教師が解説】日本語教師の仕事内容

日本語教師の仕事は、主に日本語を母語としない人に対して日本語を教える仕事です。教師と聞くと、日本語の授業だけを行う人と思われますが、日本語教師の仕事は授業だけではありません。

授業の作成や、カリキュラム作成、テストの作成、学生支援など多岐に渡ります。

今回の記事では、現役日本語教師の私が、日本語教師の業務内容について解説します。

授業の作成

日本語教師は授業を実施するに当たって、授業内容を作成します。また、日本語教師は日本語の授業だけではなく、日本の文化を伝える授業も行います。

日本語の授業

学生が日本語力を向上させる授業作りを行います。日本語力を向上させるには、「読む・書く・聞く・話す」の4つの能力を向上させる必要があります。これらの4点を意識した教材作りが必要です。

日本の文化に関する授業

日本語教師は日本語だけではなく、「日本の文化・習慣・マナー・歴史」について教育する授業も作ります。

国内に居住する外国人が、日本社会で孤立せずに、円滑に社会生活を行えるよう事前に教育を行うのです。

また、文化庁では「諸外国の言語や文化を学ぶとともに、日本語及び日本文化を世界に広め、相互交流と理解を深めていくことが必要である。」とあり、

日本文化の発信の基盤としても日本の文化に関する授業を行うのです。

参考:文化庁 社会状況の変化と日本語教育

http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_suishin/nihongokyoiku_tenkai/hokokusho/1/

授業作成上の注意点

カリキュラムに合わせて、学生が目標のレベルに到達できるように配慮しなければなりません。もちろん担当するクラスごとに生徒のレベルが違いますので、レベルに合わせた授業内容も考える必要があります。

また、授業を作成するに当たってどうしても、教師目線だけで授業を作成してしまうことがあります。

しかし、日本語を学習するのは教師ではなく学生だという大原則を忘れてはいけません。学生が日本語を理解できるよう、聞き手の立場になって授業内容を検討する必要もあります。

授業の実施

授業は基本的に教師主導の座学で行いますが、それ以外の方法もあります。以下に授業方法記載します。

座学

日本語の文法を学生に教えます。指導方法には日本語だけで日本語を教える直説法、外国語を使って日本語を教える間接法の2種類があります。日本では、様々な国の方が同時に日本語を学べるように直説法を採用しています。

しかし、座学だけでは日本語を話す力が向上しません。また、教師から生徒への1方向の授業では、生徒の集中力が持たないという欠点があります。

グループワーク

グループワークでは、学生の日本語を話す力を向上させることを目標としています。学生同士が日本語で会話することで、話す力の向上だけではなく、外国語を話す不安をなくし、外国語を話すことに自信が付くのです。

グループワークを行うことで、前述の座学で懸念されていた、話す力と生徒の集中力の継続が解決できます。

時には、クイズなどのゲーム形式を授業に採用することで、学生が楽しく日本語を学び、積極的に日本語を話すことができる環境を作ります。

授業実施上の注意点

学生は様々な国から来ています。国が違えば、文化や慣習、宗教、マナーなども違います。それゆえ、教師の些細な発言で学生がひどく傷ついたり、大きなトラブルになる場合もあります。

日本語教師として活躍するためにも、異文化への配慮を怠ってはいけません。

カリキュラム作成

日本語教師は、学生が到達すべき学習目標を定めるカリキュラムの作成も行います。作成したカリキュラムを基に授業の作成を行います。

私が勤務している語学学校では、日本語能力試験( JLPT)の合格を目標として、カリキュラムを作成しています。また、別に日本語を使ったコミュニケーション能力の向上も目標に掲げています。

宿題やテストの作成・採点

宿題やテストを作成するのも日本語教師の仕事です。合わせて、採点も行います。

宿題やテストの結果によって学生の学習進捗状況や理解度を確認することができます。この結果を受けて、授業内容の再構成やフォローアップを行います。

時には、全体的にテストの点数が悪いときもあるでしょう。悪い結果を受けて悩むこともありますが、授業内容を再考し実践することを繰り返すことで、より良い授業へと繋がるのです。

学生支援

日本語教師の仕事には学生を支援する仕事もあります。具体的には、生徒からの質問対応から、相談までをこなします。

国内に居住している日本語学習者は、慣れない日本での生活にストレスを抱えることが多いです。時には、授業のモチベーションが低下したり、最悪の場合はトラブルをおかしてしまう場合があります。

日本語教師は、悩みを抱える生徒にそっと寄り添って、生徒と共に問題を解決します。これによって、学生との信頼関係の構築や、学生のモチベーション向上に繋がるのです。

まとめ

以上が、日本語教師の仕事内容になります。業務内容は、授業だけではなく多岐に渡ります。

現在、国内では日本語教師が不足しており、一人当たりに担当する生徒数も増加しています。それに伴い、1人あたりが担当する仕事量も増加していると推測されます。それゆえ、日本語教師の仕事は厳しいといえるでしょう。しかし、魅力もあります。

日本語の勉強をはじめたばかりの生徒は、もちろん日本語を話すことができません。しかし、回数を重ねるうちに日本語力が向上していきます。

生徒の成長を間近で見ることができるのは、日本語教師の仕事の魅力です。また、自分の力によって生徒の日本語能力が向上すると、自分に自信がつきます。

学生の成長は教師にとって大きな成功体験となるでしょう。さらにより良い授業を作るために努力を重ねるモチベーションとなります。

この記事が、日本語教師を目指す方にとってお役に立てれば幸いです。